第14回・帰ってきたシンプル戦国SLG

「大河ドラマ・毛利元就」最終回・・・・話は次回にとっておくこととしよう。というわけで、戦国メディア市第15回は「大河ドラマ・毛利元就」の予定です。とまずは予告から。これを見ていてあるものをやっていたらこの更新をすっかり忘れていた、と言う訳です。あーあ、あしたから実は中部地方の名城をいくつか仲間内で廻る予定で、東京駅7時集合、家を5時10分に出なきゃいけないのに・・・後5時間半か・・・ああ。

そのある物はこれ、であります。「信長の野望・リターンズ」

いままではテープ版とかと言われていたこの「初代・信長の野望」 かの「全国版」よりもはるか前、1983年(・・・・だったと思う、違ったらスミマセン)に出された不朽の名作。イヤーーなんだかんだ言ってはまってしまって・・・ぐすんぐすん。思い馳せれば、これをテープでロードして遊んでいた時代があったなんて・・・もっとも、この頃筆者は戦国時代のせの字もパソコンのぱの字も知らなかった、というくらいの年齢である。もしかして、すっごく幸せだったのかな? それにまだその頃光栄は「ベストオブロリータ」とか「団地妻の誘惑」とかを出して・・・(以下自粛)

なぜ実はWindows95が出る前に出ていたこの「リターンズ」を今更やっているかと? 話しはコンビニエンスストアに始まる。花王が販売している「コンビニで買えるパソコンソフト」はご存知? 1980円とかそれ以下で買えるリーズナブル且つ便利なもので、書籍のところとかにラックが架けられているものだが、そこで見つけてしまいました、「信長の野望・リターンズ」1980円、しかも完全収録版(期間限定版だと言うが) これを見て欲しい、と思ったので数日後、コンビニではなくパソコンショップで購入。そのおかげで少しばかり安かった。で関係ないんですけど、なぜか「発売元」が「エーベルージュ」等で(グサッ・・・となぜ私はここでダメージを受けなくてはいけないのかは秘密、絶対に、だ!)おなじみの富士通パレックスだったのが気になるが・・・まあいいや。

で、帰ってきてからインストール。ところで・・・この「リターンズ」は実は体験版で思いっきりこけていた。すぐ攻め込められて兜の絵に「敦盛」が出てきてズィエンド、だった。ので心配ではあったが、始めてみる。意外にいく。直、ちょっとした「コツ」分かったからであった。後、突如1571年頃になると勝手に領土が増えるので何事か、と思ったら、百地が寿命で死ぬからだった、というのにはびっくりした。もう、メッセージくらい出してくれればいいのにぃ。

まあ、体験版でどうにもこうにもならなくてこのいいゲームを諦めてしまわれた方へ・・・・「金、米を住民に与える」をやると格段に米が取れるようになります。後、夏には全財産を「町を作る」につぎ込むのも手です。場合によっては全額秋には手元に戻ってきたうえ、投資した分は来年以降もやってくる訳です。

で、まあちと甘口を控えて言わせていただければ、あの能力決めルーレットがウザイ。まああのルーレットが楽しい、一晩費やすのが楽しい、というのも分かるんだが、いい能力・・・私にとっては全部70以上がなかなか出てこない。例えば、隣国の徳川なんかはほとんどの能力が110あるんだから・・それでもプレーヤー有利は変わらないけど・・・でもねえ。いい能力が出ないと「俺はスロットマシーンで遊んでいる訳じゃなイッ!!喝ぁぁぁぁぁぁつっ!」と思ってしまう。後、せっかくここまでシンプルなんだから片手間に遊びたいのにいちいちCD-ROMを入れなくてはならないのもどうかと。それに、256色でないと起動しないのも・・・まあ、この二つは光栄ゲームの特徴だからしょうがないか(なお、将星録なんかでは256色以外でも動く)

やっぱり、シンプルなゲームは面白いですね。これが信長以外でも出来たら・・と思うと「全国版」ってすごい面白そうだなあ。是非「エクセレントコレクション」か「リターンズ」で出して欲しいっ!! 手軽なシンプル、且つ安価なゲームがたくさん出てくるといいですな、うふふふふふ。



プロジェクト参加者の筆者


DATA:光栄、信長の野望リターンズ
(初出:「戦国メディア市・第14回」1997.12.14)


第13回・霧隠れする前に

NHK大河ドラマはもうすぐ終わり・・・というわけで、今回はその原作となった「山霧」を取り上げることとしよう。毛利隆元も暗殺されたことだし・・・

この「山霧」を読んだのはNHK大河ドラマ原作に決まってからである。でも新鮮だった。永井路子さんの作品は「王者の妻」に続いてであったが、歴史小説を書いておられる女性作家の中では(私の知る限りだが)この人の作品が一番面白いと思う。今生きておられる方の中でも、一番読みやすく面白い小説を書くのはこの人ではないか、とひそかに思っている。やっぱり、女性のことは女性が描いた方がそれらしさがある。司馬遼太郎(そう言えばまだ戦国メディア市未登場だな・・・)が山内一豊の妻・千代を描いた「功名が辻」は山内一豊を書いた小説とも感じられるのだが、ひたすら美伊のことだけを書き続けているのが、この山霧だ。それでもこの作品は、他の作品に比べて毛利元就の描写が多いのではあるが。

ほんの最初に以下のような文がある。


「これは乱世の梟雄、毛利元就の作品ではない。中国山脈の山裾の霧の中を這いずりまわりつつ、十六世紀を生きた若い男と女の話である。

さすがだな、という感じである。政略結婚にしては夫婦仲が良かった元就夫妻をうまく描ききっている。かの有名な雪合戦のエピソードなんかはすごく自然だ。しかし、この本で一番「はっ」と思わせたのは上巻の一節、美伊こと「おかた」(大河ではずっと美伊で通しているが、この作品のなかではずっと「おかた」である。このことについては後述)が元就の「見てはならない顔」を見てしまう。高橋家を見事に自家の一部にすることが出来た元就は、珍しく一人で脇息にもたれかかっていた。その時の元就の眼差しは人を地獄にひきずりこまずにはおかないような暗さを湛えていたのであった。たとえ夫婦であろうと見てはならない部分があり、見てしまったとしても口に出してはならない部分がある、そのわきまえを知ることが戦国の夫婦なのかもしてない・・・以上は要約引用である。これこそが、この「山霧」でのメーン部分と、私は考えた。これこそが「毛利元就」の本性である、とみた。「律義な人柄」と「梟雄」が並立する男の一面がここまで旨く書かれたのを見たのはこれが初めてであった。

で、大河ですがね。作中では美伊自身が「おかた」と呼ぶことを元就に強要しているのだが・・・上記の「雪合戦」も「眼差し」も出てこない。代わりに出てきたのは「加芽」なる架空人物・・・・「それほどのことは御座りませぬ」は出てきたが「天と地がひっくり返ることも御座りませぬ」は出てこなかった・・・・ オープニングでは『「山霧」より』となっていて、原作とは書かれていない。それなら一理あることだと思う。元就のぼやきはこの「山霧」から出ていることは事実であろう。ただ、この大河を小説化されたものがこの「山霧」と思われることは迷惑だと思う。そっちの方はちゃんと脚本家の内館氏がちゃんと書いておられるようなのでそっちを見て下さい、という感じだ。大河に霧隠れさせるにはあまりに、惜しい。



そろそろ戦国メディア市第2回の再現なるか?な筆者


DATA:文春文庫、山霧
(初出:「戦国メディア市・第13回」1997.11.23)


第12回・まずは絵と写真から

今回こそ「資料」を取り上げてしまうのである。第12回の今回は「歴史群像・名城シリーズ」の登場だ。

なんか、つい数年前、綺羅星の如く突如現れたこの名城シリーズ。ま、私が持っているのは大坂城と姫路城なのだが、この名城シリーズのすごい点はどこか?

それは、ズバリ、綿密な復元図だ。歴史群像シリーズにあるそれよりもかなり細かく、見ているだけでも楽しい。それに尽きると思う。今は無き建物に思いを馳せる――楽しい事ではないか。もちろんそれに付随する城の写真も健在だ。これらの資料は城の~~式縄張りとか気にしなくてもいいからすっごく楽しいんですよね。私も「完全城郭手引」とか書いていますけど、実はあんなの嫌いです。まあ、あれを書いたのは私の都合ですが・・・って自分を縄で縛ってしまったところで次の話題へ行く。

ま、文章も長々と書いてはありますが、これもまた興味深い事であります。城の建設(作事と普請)に関わった人々のエピソードや城主の思いなんかのところは特にいいです。こーゆーのが少し間違っているのを探しつづけて「ここが違う」と言い続けているときりがないよ、S君>千葉県某市。と私的なメッセージを入れたところで話しを続けよう。こういう資料っていろいろと間違いもありますがね、なんかそろそろ「またか」と思うレベルになってきちゃうんですよね、気にしないで読まないと「それじゃ読むな」って事にもなりかねないし。

と、なんか脈略無く書いてしまいましたけど、全国の城がいろいろと揃っているのもまたいいところ。「日本城郭体系」全巻揃えるよりは現実的だろう、ってあたり前か。

学研はこのようなビジュアル的に見ていい資料が揃っているのがいいですね。文章はともかくとして。いろいろと役に立つんですよ、結局は。

 

某誌を見て私の素姓に怒られた方へひたすら詫びる筆者

DATA:学習研究社、「歴史群像」名城シリーズ
(初出:「戦国メディア市・第12回」1997.11.9)