2013年01月一覧

第5回・歴史もここまでお笑いに出来た

ある木曜日、新聞のテレビ欄を見ていたらなんか新番組が。「突撃!お笑い風林火山」がその名前である。第1回がなんだったか忘れてしまったのだが(でも戦国時代の何か)、バライティー番組として非常に面白いのである。そもそも、歴史ネタの番組というのは今まで、「見ていて眠ることが出来る」という感じがあった。自分がどんなにその話題に興味を持っていても眠れてしまう。しかし、この番組はそんなことはない。7時からの番組というせいもあるのだろうが。

確かにところどころ「えっ」と思うことはある。しかし、歴史好きという人は意外に少ないものである。歴史嫌いの人の多くの原因は「年号覚え」である。これに苦痛を感じない人もいるのだが、多くの人はこれがむかついてたまらない。私も戦国史の年号はそれなりに覚えてはいるが、思い出せない時もある。日本古代史や世界史なんぞはほとんど覚えていない。多くの歴史好き、少なくとも戦国時代愛好家の人々が好きなのが「エピソード」である。その人の明暗をあらわすエピソード、それがたまらなく好きでいくつも覚えている。大体こういう人は小説や時代劇から入った人である。私はこういう人を「第2種型歴史(戦国)愛好家」と定義したい。ま、中には年号どころかその事件の日付まで覚え、各種古文書を捜しまわり、「何とかの研究」という黄色のカバーに入った赤か青の硬い本を読んで楽しんでいる人もいる。「第1種型歴史(戦国)愛好家」と私は定義したい。このような人の一部が学者・史家となり、そのまたごく一部がとてもすばらしすぎて一般ピープルどころか普通の歴史マニアにも読むことが不可能な研究書を出すのである。

話しが横にそれた上に、「完全戦国年表には日付まで書いてあるじゃないか」という突っ込みを受けそうなので止めとするが、とにかくこの番組はぜんぜん違う。本当に純粋バライティーとして十分面白いのである。この番組の一番の目玉は「歴史再現」だと思う。これは今までどこの番組でもやっていなかった画期的なものである(時々某番組でやっていたかな?)。剣の変わりの棒も血のり?がついてわかりやすいし、芸人が奮闘しているところも笑える(ちょっと失礼)。ゲストも、「分かってるレベル」「分かってないレベル」の2種用意される。分かってるレベルの人(時代劇出演者が多い)の考察も面白い。最初に提示される仮定も、わかりやすく斬新(例:川中島合戦は紅白歌合戦だった)「一理ある」と思わせてしまうところが憎い。「風林ニュース」も、時代によって髪形が変わっている、というような細かさも大変よい。ただ、最後のインタビューは少し・・・まあ、しょうがないのだろうか。

読売新聞の放送塔なんかでも受けはいいらしい。歴史番組としてバライティーとして、中庸が取れていてそれなりによいので、まだの人は一度ご覧になってみれば。

「信長の野望・将星録」は少し待っていてください、といいたい筆者

DATA:フジテレビ、突撃!お笑い風林火山
(初出:「戦国メディア市・第5回」1997.6.22)


第4回・面白いものは面白い

前回、次回は「将星録」と書いた覚えがあるが無視。張り切って今回の戦国メディア市いってみよー。

堺屋太一氏といえば「大河ドラマ・秀吉」の原作で知られているが、わたしは、「鬼と人と」を薦めたいと思う。

「鬼と人と」は「豊臣秀長~ある補佐役の生涯~」「秀吉」とともに大河ドラマの原作になった作品である。しかし、堺屋さんの名前は「過激演出」かつ「史実誇張」の悪名高き96年度大河ドラマで泥を塗られた。某週刊誌にも載っていたように、作者本人もびっくり、だったのである。

私がこれを読んだのは大河ドラマが始まるまえで、「豊臣秀長」のあとであった。ぶっ飛んだ。くそがつくほど面白い。堺屋さんといえば、もともとは経済、通商産業方面の人で、歴史を現在の日本のために役立てようとしている感がある。「豊臣秀長」やその後に読んだ「巨いなる企て」でも、現在の会社組織に例えられる文章が出てきて、わかりやすい。好みの別れる文章かもしれないが私は好きである。

しかし、「鬼と人と」は違う。まず文書形態から行って違う。独白形式なのである。作者は織田信長を書きたかった。しかし、「日本史の奇観」「日本史の例外ともいうべき事件の一方の主役」「主観性の強い天才」である信長は、筆者の手によって書くことは憧れではあった。しかし、それを実行するために長い間迷い続けた、ということが序文に書かれている。もっともなことだと思う。それでたどり着いたのが、時代の改革者である信長と、時代に忠実な明智光秀、それぞれの口を借りた“独白形式”だったのである。

光秀が織田家に仕えて数年も経ったある年、光秀は信長と生活をそれなりの期間ともにせねばならなくなった。天正10年の武田攻めのことである。同じ出来事を二人それぞれの立場で書いていて面白いのだ。筆者はエンターテイメント性を重視して書いたつもりはないのかもしれないが、小説としてのエンターテイメント性は極めて高いものがある。私は今まで50作品弱歴史小説を読んでいるが、そのなかでも5本の指に入る、いや、ベスト3に入る作品である。○○○の「○の《ぴー←(伏せ字)》」なんかとは大違い、天と地の差、月とスッポン、である。二人の人間としての違いが現れていて何か考えさせられるものがあるのだ。内容は詳しく書くと面白味が半減するので書くことを控えるが、自信をもって人に進められる本であること間違い無しである。

堺屋さんの本はそれはそれの楽しさがあるので、また紹介できたら、と思う。

○○○の「○の○○○」には飽き飽きした筆者

DATA:鬼と人と、PHP文庫、上下巻各540円、堺屋太一著
(初出:「戦国メディア市・第4回」1997.3.23)


第3回・これぞ戦国気分?

もうすぐ最新版の将星録が出る都合上、早く書かねば。とほほ。

そう、今回は信長の野望・天翔記なのだ! このゲーム、発売された当時で一番売れたパソコンゲーム。戦国時代物が一番売れるとは何か? 何がそんなに面白いのか?

このゲームは実際の戦国時代にはありえないことがいくつか含まれている。姫武将、異常なまでの鉄鋼船の強さ、など、ゲームゲームしているところがある、そこがゲームとしての面白さを引き出しているのだよ。その面白さが新たなる戦国時代好きを生み出してくれているのだ。事実、私のまわりにもこのゲームがきっかけで里見オタクになった奴とか、真田家(昌幸、幸村とかの)を“しんだけ”とか発音しときながらゲームは滅法強い奴とかいるし。

このゲームから採用された「軍団制」は私を納得させた。私自身は前作覇王伝からのユーザーなのだが、例えば織田家でプレーする。そのとき、近畿一帯を制圧した。そのあと、わたしは絶対に羽柴秀吉を北陸に遣ったり、加藤清正を柴田勝家のもとで働かせるようなこともしない。羽柴秀吉は中国戦線で働かせ、加藤清正らの子飼いの武将はその下で働かせる。そう、史実通りにやらないと気が済まない。戦国野郎の性なのかしらね、これは。その意味で、より史実に近づいたのがよかった。

光栄から出されている関連書籍がまたいい。私は「信長の野望・覇王伝辞典」と本屋でであって、戦国時代が好きになり、ついでにパソコンの知識も得て、うちにあったPC-9801UVでこのゲームをかって、はまって、今のペンティアムパソコンを買う、という経緯。すくないだろうけど、戦国時代好きにパソコンを普及させているのではないか。やはりパソコン普及にはワープロ、表計算、そしてゲームが欠かせない。

しかし、複雑すぎて初心者がなかなか入ってこない、という「全国版」「テープ版」からの熟練ゲーマーのいい草。少なくとも私のまわりではそんなことないんだけど。しかし、これはあたっているようである。私は、戦国ゲームは「天下統一Ⅱ」(システムソフト、しかも体験版。今はWindows95版がある)からだったんですんなりと入ったのかもしれないし。私自身、世に名高い名作の「武将風雲録」とかやってみたいんだけど。TAKERUおわちゃったし、中古なんかでも売ってないし。とほほ。

でも、次の将星録はほんとによさげ。今から期待してますです。これで初心者も入ってこれるでしょう。とゆうわけで、第4回は「将星録」を紹介します。嗚呼、小説を紹介できない。

最近またはまった筆者

DATA:信長の野望・天翔記、95年光栄

(初出:「戦国メディア市・第3回」1997.3.16)