前回「事典」を取り上げたので、今回もソレ系のメディアです。
私自身、他の戦国時代系のページを見ることもあるのですが、そこで気になる本があった。「角川新版日本史辞典」がそれだ。
もう、結構多くのページで絶賛されていたので、とても興味を持った私は本屋で一応手にしてみた。そして気づいたときには買っていたのである。
最初買ったときは「3400いくらも払う価値があるものなのだろうか?」と疑問に思っていた。しかし、実際に使ってみると、ホントに楽しくてハッピッピー(相変わらずの、死語)だった。
ひとつの項目を引くと、その文章のあるフレーズに米印がついている。それは、その言葉が辞典に載っているということなのである。さらに、その言葉を引くと、さらにその文章の中に※つきのフレーズがある。もう、連鎖していきますな。さらには、その項目の上、下、左、右、同じページの項目を読んでみるとこれまた楽しい。もう、気づいたときは数時間経っていてしまったなこれは、てゆー感じである。
それで、何よりも特筆されるべきことは、「付録」の充実である。グ●コのおまけ、小○館の学年別雑誌の特別付録に随喜していたその心は、いまなお変わらず、といったところか、なんか、うれしいのである。巻頭のカラーはもとより、辞書の厚さの四分の一を占める付録に大満足せねばならないのだろう。「室町幕府諸職表」「織田大名表」「豊臣大名表」「近世大名配置表」といったものを、戦国ページであるわが「完全~」では挙げなければならないのだろうが、「マス・コミ年表」や内閣の大臣がぜ~んぶのっている「内閣表」には、ぶったまげねばなるまい。パンピー(死語)がびっくりしちゃうような、ヲタクな内容としかいいようがない気はするが、あくまでも、歴史研究者・教育者のためだけではない、学生や歴史愛好家のための辞典でもあるのだ。
まあ、確かにごく一部に気になる記述が多数存在させられる。ハンドルネーム・里見義堯殿(当「完全戦国年表」で実名で何回がご登場頂いた方です)曰く「だからねー、里見義実の時代には館山を居城にしてないの!(キレ☆)」だとか、そうだが(詳しく知りたければ「南総里見之館」でも見てください)、まあ、確かにいろいろとほつれは見える。ただ、最新の歴史学を反映してくれているのも事実だ。その点では、うれしい限りである。
あと一言いわせて頂ければ、角川書店は「本がチャっちい」 なんか、壊れやすそうなんですよね、他のところと比べて。辞書のカバーも納得いかんし。
まあ、同じ辞典でも「ワイド版」というのもあるそうだが、値段が跳ね上がるわりに内容は変わらないようなので、角川の「ワイド版」を買うくらいだったら、山川出版社の「日本史広辞典」を勧めておこう。こっちは、さらに凄い。もう、びっくりするくらい。あー、ほしい。
とはいえ、私にとっては、たとえ3400円といえども、自腹を切って買うほどのものではなかった。ただ、自腹を切らなくていい方法があったから私は買ったのである。
そう、親にねだったのだ。
最近は「完全~」の上位ページをご覧の方も増え、「越後博之18歳説」が盛んだが(ちなみに18歳は「数え年」)、まだまだ学生である私は、「授業で役立つ!」「受験に必要」とうそぶいて、うえから3400円もらいました。ただ、実際に高校生の日本史の授業で使うと、かなり役に立つのは事実ですね。ただ、まわりに「何この本?すげー分厚い」などと、なんか変わった目で見られましたがね。
とにかく、「戦国」だけでなく、他の時代にも目覚めようってんならもう、お勧めだ。
ひとでなしな筆者
DATA:角川書店、「角川新版日本史辞典」
(初出:「戦国メディア市・第25回」1998.6.7)