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第8回・織田信長小説のスタンダード

織田信長を題材にした小説というのは意外に少ない。前にも紹介した「鬼と人と」でも作者の堺屋氏は

『織田信長を題材にするのは長年の夢であったが、かつ、重い夢であった。「日本史の奇観」であるこの改革者の苦労を描くことだからだ。』(要約引用)

とまず最初に書いている。だからであろう。

私が最初に読んだ時代小説は井上靖の「風林火山」であったが、その次に読んだこの山岡荘八「織田信長」の方が最初に読んだ歴史小説、と思えるほど私にとっては印象深かった。

山岡荘八作品は人物にクセがある。そこがたまらない。独特の口調が人物の感じ、悲壮感、達成感、絶望感・・・等をうまくこっちに伝えてきてくれるのである。最も、この作品で一ヶ所だけわからりずらい場面があったが、歴史小説では少ない方だろう。その他の場面はいたっていい雰囲気なのである。読み進めやすいことがまたいい。資料の引用なども最小限である。5巻が長編とは思えないくらいテンポは速いのである。しかし、テンポが速いとはいえ、内容は濃い。私は何回か読み返している。

この作品はその後の私の史観に大きな影響を与えている。それくらいインパクトは強かった。それはいいことだったのではあるが、後々考えれば発表時期が少し早めだったので間違えているところも多く、後でちょこっと苦労した。とはいえそれを補うに十分な魅力がこの小説にはある。

織田信長小説はいくつか読んだが、「鬼と人と」を除いた一般名形式の物ではこれが1番良かった。「歴史小説を読んでみたいけどどれがいいかな?」と人に聞かれたら「まずこれがいいんじゃないか」と人に勧めるであろう。

短い文章すみません、とついでに言いたい筆者

DATA:講談社山岡荘八歴史文庫、織田信長

(初出:「戦国メディア市・第8回」1997.9.17)


第7回・また一歩、理想へ近づいていた~後編

ええと、今回はパワーアップキットについて触れたいと思います。8月1日に発売され、毎年のことではありますが、光栄に余計に金を払うこととなり、めでたしめでたしなのですが、なんとなく「天翔記」の時よりパワーアップしてないなあ、と思わざるを得ません。確かに「年表」機能はちょっと嬉しいけど、新武将作成や武将の改名なんかも出来ない、というのはねえ。それにすばらしいバグもありました。将星録本体の時は「九戸政実の顔が松前慶広と同じ」というのがありましたが、今回はさらに致命的。「シナリオ8の(新時代の到来)で松永久秀が大名なのに、『部将』の身分になっており、部将と同じ兵数しかもてない」松永久秀で暴れまわる、ということは出来ないのでしょうか。

とはいえ、大砲の数まで変えられる「城エディタ」の再登載は嬉しい。これで、弱小で城に篭もって遊ぶ、という事も出来るってもんだ。

まあ、私の「将星録」小話を最後に。とりあえず発売日に買った私はシナリオ2の織田で早速始めた。まあ、最初に内政にはまったものの、順調に勢力を拡大。それでも、天下統一は1590年代になってしまった。しかも、統一は7月。まあ、長宗我部でやったりしていた影響もあるのだけども。今はシナリオ5の伊達家でやっている最中である。例の拉致事件で伊達輝宗が死んだのが少し痛い。考えてみれば「イベントを起こさない」にしておけば良かったんだなあ、と思ったがもう後のお祭りである。本当に将星録は「やりたい、と中毒して思うことは少ないが、一度始めると時間を忘れるゲーム」である。

ところで・・・マシンの能力がたらんと重いんだよなあ。それにマッキントッシュでも640×480で出来ない、という問題も指摘されているしなあ。後、武田信玄は反則だと思う。まあ、足利義輝の「斬鉄剣」なんかの遊び要素が多いのも魅力だな。それと例の伝統イベントの彼が死なずに「わしが再び必要になるまで比叡山に登る」って何かなあ。分からん。あと、このゲームのオープニングは最高だね。エンディングの最後は受けたけど。

なんだかんだいって、ここに書いていて悪いことを一つも思い出せないのだ。今から次のが楽しみだ。

更新の後れ申し訳ない、と思う筆者

DATA:光栄、信長の野望・将星録

(初出:「戦国メディア市・第7回」1997.8.24)


第6回・また一歩、理想へ近づいていた~前編

去年の11月になっても新作の声が聞かれずどうしたものか、と思っていた信長の野望シリーズ。年末になりやっとリリースの情報が伝わってきた。しかし発売は96年春、と聞き少し残念に思ったのも今は昔。発売日に買ったのに(その時の様子は姉妹ページの町田PC MAPに少し書きました)天下統一したのは7月中旬。まあ、ゆっくりプレーできなかったからだけど・・・ というわけで、今回のメディア市は「信長の野望・将星録」です。

なんだかんだいって爆発的売れ行きを示したこのソフト・・・しかしよく見ると粗が目立つのでここでズタズタにけなしたろ!とも思いましたが、あまりにも「辛口な批評」で有名になりつつあるので、あえてここでは将星録の良さを広めていこう、と思うのである。

まず、最初に内政にはまった。というか、私は「理想の戦国ゲーム」を暇さえあれば考えているが、「内政と戦闘を一つの画面で」という発想は3年前から持っていた。それが今回実現したわけですな。とにかく、美しく城下町を作った。水田はレベル3、街もレベル3。こだわって作った。これが後で、天下統一遅延理由になるとは思いもよらなかった。とにかく美しくなった城下町を眺めうっとりする。緑のバーを見てうっとりするのとはわけが違う。

次、戦闘がいい。個人的には覇王伝の戦闘が好きだけど、今回のもよい。最初は本陣に弓で間接攻撃されて退却、ということに憤りを感じたが、こっちで決まると気分がよい。攻城戦も、最初は「何だこれ。15ターンで落とせるわけないだろ(私はシナリオ2の織田家でプレーしたため最初に攻撃したのは稲葉山城だった)。つまんね~」と思っていたが、次第に「手応え」を感じるようになっていった。

なんだかんだいってより史実に近づいた、のではないか。私の周りにいる「天翔記」からのユーザーは会見―奨励で忠誠が上げれないことに不満を持ったようだが。

「将星録」をプレーして感じたのは「天下統一」よりも内政で遊んだ方が面白いのではないか、ということである。前述の彼は天下統一を何回もしたそうだが、私は違う。極めて穴熊的戦略で遊ぶ。四国長宗我部帝国を作ったり、関東里見共和国(←なぜ北条でないかは不明)して遊んだ方が面白い。利根川・荒川をすべて治水し農業国家を作ったりさ、安土城に明智でこもったり。大体、天下統一をしたのは、豊臣秀吉と徳川家康の2名だけなんだから。出来なくて当然じゃないか。もっとも、天下を統一できなかった大名に天下を統一させるのが正しい遊び方なのではあろうが。

と長くなったのでまた次回。今度はパワーアップキットについても触れることとしよう。

手抜きだ、と思われたくはない筆者

DATA:光栄、信長の野望・将星録

(初出:「戦国メディア市・第6回」1997.8.10)