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第11回・偉大すぎる前作をもった2作目

本当はこの戦国メディア市で初めて、資料(注:史料ではない)を紹介しようと思っていたが、ある、実に下らん理由で取り止め。あーあ、なんでこんなに制約がついてしまうんだろうか?

今回はまたもやゲームを取り上げる。「天下統一II」 最近、やっと?Windows95番が出て、ちょっとだけ再ブレイクしたが、私がやったのはPC-98版の「パワーアップセット」の方なので、悪しからず。

このゲームに初めて出会ったのは、もう6年くらい前だろうか。ある雑誌についてきた体験版をプレーして、「これは面白い」と思った。その体験版は100万石で終わりなのだが(つまり戦国大名レベルまで)、苦労の末、1日中やりつづけて、北条家で100万石に到達したのであった。その後、攻略本にて、予備知識を更に深め、結局製品版を買い、「ふぅー」と思いつつやりました。これが、「信長の野望・覇王伝」につながっていったわけです。

これがいいとこ、といったら、当時の信長の野望に比べて、グラフィックが、すっきりとしていた。だから、最初は信長の野望はクセがある、という先入観でいっぱいになってしまいました。あと、国によって兵の強さが違ったり、鉄砲の普及していく様、そのあたりが異様にマニアックで、おお、と思いましたね。何よりも、シンプルな合戦システム。このゲームの後覇王伝をやると覇王伝の方が面白い、と思ったが、今から考えるとこっちの方が絶対面白い。野戦なんかもコマンド少ないし、攻城戦も基本方針だけで進むから展開が早い。例えば、「この国を統一しよう」などという遊び方がよりしやすいゲームなのである。

なんてったって、最初に遊んだ戦国ゲーム。思い出深い。この天下統一シリーズは、第1作があまりにいい、というのが世間での評判だが、このIIもいいのに、この第1作の影に隠れてしまった、としか言いようがない。もっとも、第1作をプレーしていないので深い事は言えんが。

私は、こんなダイナミックでシンプル、かつ熱中できる戦国ゲーム再び現れないかなーと一人思い、そして笑っているのである。

プロジェクト参加者の筆者

DATA:システムソフト、天下統一II
(初出:「戦国メディア市・第11回」1997.10.26)


第10回・戦国時代はそこにある

前回、第10回は小説を取り上げる記念企画にする、と書いたが、諸般の事情で先送りになってしまいました。スミマセン。

それに変わる「戦国メディア市第10回記念特別企画」はいつもと趣向を変えて、一見関係なさそうなものを見ていこう、という物なのだ。では、いく。

  • NTTフェニックスミニのCMなんかどこぞの陣所のような物が現れる。そして、たいしょうらしきひとが「戦は飽きた!!」と叫ぶ(嫌いじゃ、だったかな)。その次に家臣らしき奴が吐く言葉が問題なのである。「ノブナガサマ!」・・・・・?その次がもっと問題である。「フェニックスミニでピポパ」信長が「なぁにがピポパじゃ」(この台詞だけは信長らしい)姫が出てきて「ワガママ言っちゃだめ」信長が「ウン」・・・・・・・・で、さいごに信長が「2台でイチキュッパ!」と叫んで終わりなのだが・・・・・。

    信長のイメージが失せるよ、これ。

    大体、あの将星録のAVIファイルですら苦情が出ているくらいなのだ。信長が「戦は飽きた」なんて口が裂けても言いそうにもないし、女(濃姫か、それとも吉乃か、鍋の方なのか・・・・謎だ)がごときに「ワガママ言っちゃだめ」といわれて、とろけるような声で「ウン!」などとほざくわけがなかろうが、たわけぇーーーーーーたわけたわけたわけたわけぇぇぇーーー どうせ信長でやるんだったら、秀吉の下にテレビ電話かけて「戦況はどうじゃ」と聞き「上々にござりまする」と秀吉が答え、「良し」。光秀にもかけて同じ事を聞いて「思わしくありませぬ」「たわけえ」と叱咤。次の日信長が本能寺に泊まっていると光秀が謀反・・・・の方が、確かにちょっと違うが面白いとは思うのだが。

  • 朝日新聞の連載小説「平成三十年」作者が堺屋太一だからか、登場人物がすべて戦国時代ゆかりの名前なのである。主人公・木下和夫、その同僚には、明智、柴田、坂井、斎藤、竹中、とこれまた織田家ゆかりの人々が。何よりも笑えるのは、木下和夫が務める情報産業省大臣・織田信介。経歴が、若い頃にソフト会社「オワリコン」を設立。そこで開発した「パソエン」がヒット。ついには、今川という政治家を破って衆議院に当選というのがすごい。これは一度読まないとだめですな。

・・・・・と二つしか紹介しておらず、やっぱり「手抜き」なのであった。

次のネタが見つからない筆者

(初出:「戦国メディア市・第10回」1997.10.10)


第9回・作者が、見知らぬ海へ

というわけで、2回続けて小説を取り上げてしまうわけである。もっと言えば、次回も小説を取り上げる予定なので3回続けて、と言う事になる。まあよい。今回は、隆慶作品を取り上げてしまうわけだ。

隆慶――正しくは隆慶一郎。この日との小説に感銘を受けた人は親しみを込めてこう呼ぶ。それで、今回取り上げる作品は「見知らぬ海へ」 この人の代表的作品と言えば、「影武者徳川家康」や、書店で「売れてます」とよく出た「捨て童子・松平忠輝」 し・か・し私が最初に読んだのは「時代小説の愉しみ」だったりする。これは、エッセイ集と言った方がいいかもしれない。織田信長、武田信玄、北条氏康や明智光秀に対する独特の考えが刺激的だった。それに、他の文章もものすごく面白くて、私としては珍しく、2回一度に読み終わるまで肌身はなさなかった(いつもは1回読み終わると2回目以降は家で読んでいる)。

次に「影武者徳川家康」を読んだのだが、これまたぶっ飛んだ。この本の読後、徳川秀忠に対する見方がかなり広くなってしまい「読んだ事を後悔した」と思ったくらい影響力ある作品だった。これら2作品は、またじっくりと触れる事があるかもしれない。

その次に読んだのが「見知らぬ海へ」だった。私としては初めての隆慶未完小説であった。隆慶一郎氏は急死であったため、多くの未完小説が存在する。が、この本の読後以降向井正綱がものすごく好きになった、というよりもこれを読むまでは向井正綱など知らなかった。父と義兄が釣りをしている間に居城で玉砕。「魚釣り侍」と罵られつつも向井水軍を徳川水軍の中核としていく様、小田原の陣の際の活躍などがダイナミックに書かれているのだ。おそらく、水軍武将を書いた小説では、これの右に出るものはないだろう。

ついでに書けば、この次に読んだ「死ぬ事と見つけたり」はさらに面白いのに未完で「俺の寿命を10年差し上げてもいいから続きを書いて欲しかった」と思わせたのだが・・・・・・これはまた後日改めてゆっくりと。

次回は10回記念をやる?筆者

DATA:講談社文庫、見知らぬ海へ

(初出:「戦国メディア市・第9回」1997.9.28)