ある木曜日、新聞のテレビ欄を見ていたらなんか新番組が。「突撃!お笑い風林火山」がその名前である。第1回がなんだったか忘れてしまったのだが(でも戦国時代の何か)、バライティー番組として非常に面白いのである。そもそも、歴史ネタの番組というのは今まで、「見ていて眠ることが出来る」という感じがあった。自分がどんなにその話題に興味を持っていても眠れてしまう。しかし、この番組はそんなことはない。7時からの番組というせいもあるのだろうが。
確かにところどころ「えっ」と思うことはある。しかし、歴史好きという人は意外に少ないものである。歴史嫌いの人の多くの原因は「年号覚え」である。これに苦痛を感じない人もいるのだが、多くの人はこれがむかついてたまらない。私も戦国史の年号はそれなりに覚えてはいるが、思い出せない時もある。日本古代史や世界史なんぞはほとんど覚えていない。多くの歴史好き、少なくとも戦国時代愛好家の人々が好きなのが「エピソード」である。その人の明暗をあらわすエピソード、それがたまらなく好きでいくつも覚えている。大体こういう人は小説や時代劇から入った人である。私はこういう人を「第2種型歴史(戦国)愛好家」と定義したい。ま、中には年号どころかその事件の日付まで覚え、各種古文書を捜しまわり、「何とかの研究」という黄色のカバーに入った赤か青の硬い本を読んで楽しんでいる人もいる。「第1種型歴史(戦国)愛好家」と私は定義したい。このような人の一部が学者・史家となり、そのまたごく一部がとてもすばらしすぎて一般ピープルどころか普通の歴史マニアにも読むことが不可能な研究書を出すのである。
話しが横にそれた上に、「完全戦国年表には日付まで書いてあるじゃないか」という突っ込みを受けそうなので止めとするが、とにかくこの番組はぜんぜん違う。本当に純粋バライティーとして十分面白いのである。この番組の一番の目玉は「歴史再現」だと思う。これは今までどこの番組でもやっていなかった画期的なものである(時々某番組でやっていたかな?)。剣の変わりの棒も血のり?がついてわかりやすいし、芸人が奮闘しているところも笑える(ちょっと失礼)。ゲストも、「分かってるレベル」「分かってないレベル」の2種用意される。分かってるレベルの人(時代劇出演者が多い)の考察も面白い。最初に提示される仮定も、わかりやすく斬新(例:川中島合戦は紅白歌合戦だった)「一理ある」と思わせてしまうところが憎い。「風林ニュース」も、時代によって髪形が変わっている、というような細かさも大変よい。ただ、最後のインタビューは少し・・・まあ、しょうがないのだろうか。
読売新聞の放送塔なんかでも受けはいいらしい。歴史番組としてバライティーとして、中庸が取れていてそれなりによいので、まだの人は一度ご覧になってみれば。
DATA:フジテレビ、突撃!お笑い風林火山
(初出:「戦国メディア市・第5回」1997.6.22)