2019年05月02日一覧

秒単位で歴史を記録することの難しさについて

「完全近現代史年表」Ver.1.05として令和改元に伴う項目追加を行いました。

https://www.merkmark.com/modern/nenpyo/kmnp_08.html

当初は退位と即位で1件ずつとしていましたが、政令上の退位・即位が日付またぎであるため追加しました。結果、5月1日更新において令和元年の出来事が追加されることとなりました。

新聞各紙の朝刊から、時分の指定は現代史選定基準としても確かなものと思われます。どの瞬間を採用するかだけは編纂者の一存ですが、NHKの生中継でリアルタイムで見ていて「これだ」と思った瞬間と、新聞各紙で採用された写真が結果として一致する傾向にあったので妥当な判断だと考えます。

一方で……

「何秒」に起きた出来事かは正直記載する必要はないのです。「一礼した」のであれば、かがめ始めた瞬間か、礼が終わった瞬間かでプラスマイナス1~2秒のレンジが存在します。「台に置かれた」のも所作の開始から終了まで微妙な判断です。今回は台に置き終わった瞬間としましたが、手を離した時単に紐に手がかかっているだけのようにも見えるので判断としては微妙です。

さらに、テレビ中継は地上デジタル放送となったこともあり、その特性上そもそも1,2秒のディレイが発生しているようです。これは5月1日NHKをテレビとラジオで両方つけて確認しました。結果、テレビはリアルタイム放送であるラジオより2秒遅延が発生していると判断し、秒はそれで採用しています。

ちなみに、管見の限りではデイリースポーツだけ気になるWeb記事をあげています

https://www.daily.co.jp/gossip/2019/04/30/0012289696.shtml

NHKは民放各局より1秒ほど“ディレイ”で放送を遅らせた生中継となっていたとみられる。

「NHKだけ8K対応でタイムラグがあるのか」とも思い、翌日の即位関連の儀式で確認してみましたが、NHKと民放(日本テレビ)では映像に時間差を確認出来ませんでした。ネットにちらほら見られる、「○○だけ退位でなく▲▲を放送している」という画像で確認してみても上記の1秒ディレイは確認出来ませんでした。しかし、時刻表示だけ、NHKは4月30日の放送では1秒遅れでしたが、5月1日の放送では同時刻に時刻が切り替わっていたことを確認しています。※NTPで時刻合わせしたコンピュータとの比較 地上デジタル放送になった当初は地デジだと時刻表示が遅れるという感じでしたが、地デジだけになってエンコード・デコードを考慮した時刻送出にしているように見えます。

記載した項目については、上記すべてを勘案しても所作の最中と考えられるため、思い切って書いても事実誤認でない範疇と判断し、今回は果断ぎみに秒まで記載しています。

本稿自体が、出来事が何時起きたかを判断する史料となるよう、書き残すものであります。

そんなわけで、何時何分までは新聞メディアでどんどん蓄積がなされていくのですが、やはり何秒までは技術の変転、そして映像メディアがアーカイブを徹底的にサボっていることもありかなり困難な事項となっていることは書き残しておきます。

なお、「完全近現代史年表」のバージョンについての考え方は、とりあえず「完全戦国年表」Ver.3までと同じとしました。項目追加・修正・更新については小数点以下1増分としています。今後は改善の余地があるかもしれません。Ver.4.02.03みたいな書き方もありかな、と思います。

「Ver.1.05」となっているのは2項目変更・追加を行ったことによります。

平成改元について、「完全近現代史年表」についてはスマートフォン対応のため改元実態にかかわらず立年改元表記としていましたが、西暦変更無しで元号だけ追加しても見え方がそこまで違和感ないと判断しましたので、「完全近現代史年表」については改元時基準に記述を変更しています(5月1日更新のVer.1.03より)。大正改元については即日改元(布告した日に遡っての改元)のようなのでそのままとしています。

いろいろ追加で近現代史通史本に目を通してもあまり項目追加はないかと考えていたのですが、ジョン・ダワ—『敗北を抱きしめて』に目を通して1945年11月4日の出来事をどうしても入れたい思いが出たのでこのタイミングではありますが追加しています。

今後、項目増減があったときにどこまでログを残すかは検討課題です。こう検討課題ばかり増えていくわけですが、それが現代社会なんだなあと思います。