第2回・やっぱり視聴率ねらいだったのね?

96年度大河ドラマも大好評のうちに終わった。竹中直人さんや、渡哲也さん演じる織田信長の好演技が光り、日本人に人気の高い秀吉を見事なまでに映像化した。

が、しかし・・・・

一部の濃い人・・・・戦国野郎とか・・・・そういう人には不満がたくさん残った。その不満なところを今更ながらあげてみたい。
1.史実と完全に違うところがある。
ここで言いたいのは、本能寺の変徳川家康黒幕説や明智光秀の妻に、光秀の首が渡り、それで入水、といったことではない。思いつくだけあげてみよう。一つ、武田信玄が約4ヶ月早く死ぬ。秀吉が信長に信玄の死が間違いないと告げに言って自宅に帰ると、おね(ねね)が正月の準備をしている。よく考えてみよう。信玄の死は1573年4月12日である。もし、岐阜にまで年内に死んだことが伝わるのであれば信玄は、三方が原で戦死したことになる。それも、おおっぴらに信玄の遺品を石川五右衛門がごときの身分の低いものに与えていたのならば、信長の乱破がすぐさま情報をつかんだだろう。後次々に連ねていくと、正徳寺の会見のときなぜか10歳の竹中半兵衛が出ている、とか、明智光秀の母処刑のときになぜか秀吉が丹波に来ている、細かいものをあげていくときりがない。私は、別に史実でうまく分かっていない点や隠された点を思い切った説でやるというのは許されると思うんですが、史実を捻じ曲げてまでドラマのテーマを貫くというのには承知しかねる、といいたいわけですよ。分かってください。
2.秀吉が英雄すぎ
いくら秀吉が主人公だからって、悪逆非道?の信長に、比叡山攻めをやるな、とか、はくだみの盃をいけない、とか、明智光秀母見殺しについて「鬼!」といって刀振り回したら、秀吉はこんなに出世しなかったでしょう。妹を徳川家康に嫁がせたり、朝鮮出兵などを家臣のやったこととするのもちょっと。秀吉だって悪事を少しくらいしないと天下取れなかったわけだし、人間として晩年には耄碌したんだから、あまり神格化しすぎ。
3.キャストにびっくり。
これはどうでもいいことです、今となっては。皆さん迫真の演技だったんだから。織田信長とか竹中半兵衛とかがあまりにも老けていてどきりとしたけど。でも、アドリブで主君に向かって刀振るのはやめてください、秀吉役の方。
しかし、捨てたものがあるんだから、拾ったものもある。「家族」を中心に描いたことで、歴史マニア以外の人に大変受けがよかった。だいたいNHKは一回「太閤記」をやっているんだから、思いきったことも必要だったのでしょう。総括して、「いい時代劇」でなく、「いいドラマ」だったんじゃないかと。

新しい大河ドラマの「毛利元就」は、いい時代劇かついいドラマではないかと。何しろ資料の少ない時代だから、自由がきくわけです。最初、時代劇は初めて、という脚本家だときいて、心配しましたが、今のところ全然平気です。

ところで、大河ドラマには、公式ホームページがあり、各週のあらすじが分かるお得なページです。アドレスは、これだけぼろくそ書いてしまったのでかけないんですが、NHKホームページのどこかにあるとだけ書いておきます。

これだけ書いた以上、責任はとるつもりです。どんなメールが来ることも覚悟の上です。じゃ、自分でやったらどうなのか、と言われても、困りますけど、そこが何かを評論するときの難しいところです。

ビビっている筆者

DATA:NHK、大河ドラマ「秀吉」

(初出:「戦国メディア市・第2回」1997.2.3)