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青森県岩崎村・十二湖へ行く(1)

十二湖・青池 秋田・青森旅行の続きを書きたい。
秋田市街を思う存分歩き回り、久保田城跡も見て回った私は、今回第2の目的地・白神山地へ行くこととした。すでに秋田-弘前の五能線・奥羽本線2日間乗り放題のきっぷ「五能線パス・タイプA」を買っており、秋田地鶏の駅弁を物色しつつ、「リゾートしらかみ3号」に乗車した。気動車だが、車内は大変にゆったりしたつくりで快適そのもの。ただ、日曜日だというのに思ったほどの混雑率ではなく(20%を超える程度か)、当初指定券が取れていたボックス席でも相席にならずに済みそうな感じだった。
なにはともあれ列車は発車し、秋田をあとにした。八郎潟のあたりから暫く眠り、起きたら東能代。ここで数分停車するそうなのでさっそく降りてみたが何もない。奥羽本線から分かれて五能線に入った次の能代駅には駅前にサティもあり、こちらが市街のようだ。能代駅には秋田杉の小片が置いてあり、自由に持ち帰って匂いを楽しめるようになっている。バスケの街で、1号ではバスケ体験も出来るアトラクションがあるらしい。
能代駅を出てしばらくすると、海沿いを走る五能線らしい風景が広がり始める。これを求めて五能線の乗りつぶしに来たのだ。絶景では徐行して走ってくれる。さすが、企画モノトレイン。
あきた白神駅を過ぎ、青森に入る。私は白神山地の自然を求めて、十二湖駅で降りることにした。リゾートしらかみ用の観光ガイドを見ると、なぜか湖面が青い「青池」やブナ林を間近に見ることが出来るところのようだ。十二湖駅で降り立ち、1時間40分後にリゾートしらかみ3号はUターンして戻ってくる「蜃気楼ダイヤ」なる編成になっており、私は束の間の森林浴を楽しもうと思ったわけだ。
駅を降り立つと、駅員の格好をした若い女性に迎えられた。「あれが噂の観光駅長か」…リゾートしらかみが走る五能線沿いの駅には、女性を「観光駅長」として起用し、駅に配して観光案内をさせているようなのである。駅から出ようとすると、その観光駅長が先回りして「きょうはどちらへ?」と、笑顔で観光ガイドを渡してくれた。
その日はたまたまマスメディアの取材が来ていたようで、青森県西津軽郡岩崎村――既に合併して新「深浦町」となっていたが――の観光課の女性の人、それから観光駅長さんと特別にご一緒する機会を得た。青池行きバスに乗り走り出して2分もすると、駅前にはなかった雪が残ってる残ってる。道も狭い。バスの中では、「十二湖」といいつつ実は33あるという湖のいくつかがバスから見えてきたが、その都度運転士がアナウンスで解説を入れる。かなり親切だ。
バスは終点に着いた。ここから先は歩いていかねばならない。ここで地元の人から「長靴でないといけないよ」とアドバイスがあった。「あちらに長靴がありますから」と、建物の方を指差してくれた。同じように、観光駅長さんにも「靴履き替えないといけないね」。まだ若い観光駅長さんは地元の人に可愛がってもらっている様子が窺えた。ここで、観光駅長さんと一緒に長靴に履き替えた。
先ほどの役場の方と観光駅長さんとで青池へと向かう。途中、いろいろとお話を伺った。観光駅長さんは私に教えてくれた内容もあったが、まだ3月に赴任したばかりで知らないこともまだある様で、地元の女性の方から「知っておかないとね」と教えてもらう場面もあった。ちょうど今がスポンジが水を吸うような時期の様に見受けられた。秋田や五能線の海沿いは雪がないのに、やはりこのあたりは雪がすごいですね、と話すと、「今年の雪はすごかった」と二人口をそろえておっしゃっておられた。道は相当な雪道であったが、それでも地元の方たちで一所懸命4月1日までに機械で除雪し、スコップで整理し、さらに足で踏み固めて道をつくってくれていたらしい。「リゾートしらかみ号で来てくださる方に嘘をついたことになるでしょ」と。「おかげで筋肉痛で、運転する時が辛くって」と笑って話されていた。観光にかける魂に触れ、私は清々しい気持ちになった。
そうこうしているうちに、目的地の青池へと到着した……(明日へつづく)


民放3局地域の悲しみ

 私は旅好きなのか、時折どこかへ行かないと発狂しそうになる。だいたい、中高時代は往復3時間、多摩川を越えて毎日通学していたわけで、言ってみれば毎日旅行だったわけだ。職住近在はいいのだが、毎日が単純な往復で完結しているとどうも精神的によろしくない。
 そんなわけで年度替りの多忙な時期ではあったが、秋田・東青森へ行ってきた。まだ行ったことのない秋田市街を歩いてみたい気がしていたこと、それから白神山地を間近に見てみたいこともあり、秋田に一泊することを決めた。今回は、盛岡からローカル線の花輪線に乗って、大館へと抜けるルートを選んだ。いまなお気動車が走る花輪線、岩手県内を走る時間が結構長い。今度「八幡平市」になる西根町・松尾村・安代町は相当な広さだ。安比高原のあるあたりは4月になっても一面雪景色であった。私は、旅らしい異風景を十分満喫していた。
 ところが列車が進み、秋田県内に入った途端、私は一抹の寂しさを覚えた。理由は常人には理解し難い理由かもしれない。
 その理由というのは、「民放テレビ3局地域だから」、だ。
 秋田県にある民放テレビ局は、秋田放送(ABS;日本テレビ系列)、秋田テレビ(AKT;フジテレビ系列)、秋田朝日放送(AAB;テレビ朝日系列)の3局で、TBS系列がない。だから、日曜日のかつての電波少年の時間帯に「水戸黄門」をやっていたり、深夜帯にTBSのバラエティ番組が並んでいたりするわけだ。
 私は関東で育った人間であるので、テレビ局はテレビ東京を含めて満遍なくどの局も見てきたと思う。今自分が住んでいるところは、民放4局地域なのでさほど不便さがない。無ければ無いことに順応するのは意外と簡単である。しかし、その4局がどれも面白くない番組をやっていたとき、選択の幅がNHKしかないというのは痛い。日本シリーズの第7戦、テレビ放送がなかったときは「自分は地方に住んでいるんだ」という事実を決定的に味わわされた。
 そのことを考えると、秋田県内に入った瞬間「この人たちはTBSの番組を見ずに過ごしているんだ」と悲しみを覚えてしまう。『8時だョ!全員集合』、『ザ・ベストテン』 、『3年B組金八先生』、『渡る世間は鬼ばかり』といったような番組も、数日~数週間遅れでしか見る機会がなく、しかもその権利の行使は民放テレビ局に左右されているという……。自分はまだ4局未満地域に住んだことはない。だが、日テレ・TBS・フジ、それからテレ朝が欠けると物悲しい思いをする確率はテレ東のない悲しさの比ではないだろう。ましてや前者3つなら尚更だろう。
 以前、青森市街を歩いた時も同じような印象を持った。「『笑っていいとも』をこの時間にやっていないなんて」、と(昼に歩いていた)。
 秋田のホテルにチェックインした私は、秋田の海沿いにあるセリオンというタワーに出かけた。そのタワーに入ると、テレビの音が聞こえる。見ると、テレビが10数台並んでおり、地元のケーブルテレビの宣伝用途のゾーンのようであった。しかし、気がつくとその音は、IBC岩手放送でやっている「オールスター感謝祭」のものだった。ケーブルテレビの最大のウリは、地元にない人気キー局の番組が見られるということだったのだ。
 中央と地方の問題が取り沙汰されている。その中で情報格差というものを考えたとき、このテレビ局の格差の問題というのは、いかにもソフトウェア的問題で、対処なんて制度を変えればすぐ対応可能なのに放置されている点で歯痒く思うことがある。パイ(広告を見る対象世帯)が小さいから局を少なくする、ということにテレビ草創期になんで疑念が誰からも出なかったのが不思議なくらいだ。結局、巨大なパイを抱えている関東キー局なんかは、地元ローカルニュースの細やかさは地方の県域局にはかなわない。そういったコンテンツが不要かもしれないし、事実誰もが見たいと思う内容ではないだろうが、そのことが神奈川都民や千葉都民、埼玉都民のアイデンティティを希薄にしている印象がある。もちろん、大きなパイを分割するのも結構だが、それでも平野なら電波天国である。
 小さいパイしかないところが大きなパイを取れるようにするか、それとも誰かが言っているように放送が通信に取り込まれるか。どちらかしかない気がする。確かに無いことに順応はできる。別にテレビがなくても生きていける人は多い。しかし、一度味わってしまった豪奢を質素に戻すのはきつい。故郷に戻ることを阻む要因が、「パチンコのCMしかやってないテレビしか見られないところには帰りたくない」というのは、切なすぎる。


広角デジカメCaplioRXを買う

デジカメをソフマップギガストア町田店で中古で買ったのは、MACHIDA PC MAPでショップの写真が必要だったからだ。フジフィルムのDS8。35万画素のデジカメで、その後仲間との城巡りにも大活躍、ズームつきのDS30の乗り換えて、バカ写真がたくさんとれるデジカメを古くから使い倒していた。
 しかし、その後デジカメを買いなおすことも無く今に至るまで35万画素のデジカメでDTPに使えないどころか、ブロードバンドの影響でWebでも使えるのかどうか怪しげになってきた。だいたい、雨の中撮った函館山の夜景でデジカメそのものにガタが来はじめた。それでも5年間使い、ようやく(?)あきらめて買ったのがケータイ電話SH505i(メガピクセルケータイ)というのだからお笑いである。
 しかし、今回ついにデジカメを衝動買いしてしまった。RICOHの広角デジカメの2代目、CaplioRXである。
 DS30も32mmからとそこそこ広角だったものの、それでも撮影対象が納まりきらないことが多かった。広角の必要性は、35mm~というデジカメを借りて使っていて身にしみていた。
 もちろん、R1もR1vもR2もあったわけだが、R2はまだ価格がこなれていない、R1はそこそこ安いけどもバッテリつきのR1vとの価格差を考えると悔しくなってくるので、電源の入れ方・レンズのしまい方が好みなRXを敢えて選んだ。
 最初使い始めてみて、「これは失敗したかな」と思うこともあった。望遠のレンズの暗さ、ズーム・ワイドボタンのふにゃふにゃ感、フラッシュをたくのに時間がかかる(内蔵バッテリでも)…
 しかし広角28mm、これの恩恵は悪い点すべてを吹き飛ばすほどである。デジカメをもって仲間たちと自分撮りをしても、まず外れない。せいぜいが高さだけが合わない程度。歓送迎会シーズンでこれが大活躍した。
 良い点は他にもある。風景ひとつ撮ってみても、今までのデジカメで満足できなかった壮大な納まり方をしてくれる愛い奴である。あと、色調が意外とナチュラル。どぎつさもなく、素材を活かしすぎてもおらず、中庸な色加減が素敵である。半分に縮小してみる分には最強である……等倍するとちょっとがっかりするんだけど、実際写真Lサイズで刷ってみても「等倍」なんてそんな機会ないかな、と自分を納得させてみる。1cmからのマクロ撮影は、面白い。食品に関して、どきっとするようなドギツイ写真も取れる。花も撮ってみたが、こちらは難しい。フラッシュのたき方、影にならないような工夫が必要なようだ。
 ただ、手ブレは思いっきり、する。下手したら1番手振れするデジカメかもってくらいに。ただ、暗いところでならAutoでフラッシュをきちんとたけばかなりまともに撮れることが判明した。まあ、フラッシュ禁止のところで撮る機会も多く、今後それが出来ないのは残念であるが。LUMIXのFZ1でも被写体ブレや極度の手ブレはカバーできてなかった印象があるので、これは注意次第だろうか。究極には、フジのF10のような解決法がいいんだろうが、広角じゃないしなあ(DIGICを積んだCanonのPowerShotS60ならいいんではともいえるが、流石にポケットにぞんざいに入れられないサイズになってくるので)。
 メニューも使いやすいし、「割り切り」さえあれば最高である。ビジネス向けメモ用デジカメという称号はそのとおりである。